


コンクリートの中はどうなっているか?
【現場のリアル】1枚の写真から読みとく、基礎工事の途中経過
家づくりやリフォームの現場で、お客様に「何をしているのかいちばん分かりにくい」と言われる工程があります。それが、実は基礎工事です。
外観や内装の工事と違って、地面のあたりで黙々と進んでいくこの工程。完成してしまえば床下に隠れて見えなくなるだけに、できれば工事中に一度ご自分の目で見ておいていただきたいところでもあります。
今回は、ある現場で撮った一枚の写真をもとに、基礎工事の途中で何が起きているのかを、できるだけ分かりやすく解説してみます。
■ グレーの平らな面 — 捨てコンクリート
写真の中央、足元に広がっているグレーの平らな面。これが「捨てコンクリート(通称・捨てコン)」です。
「捨て」と聞くと、何か余分なもののように感じられるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。捨てコンには、地面のデコボコをならして作業をしやすくする、配筋の基準となる墨出し(下書きの線)を引くための平らな面を作る、基礎本体と地面のあいだに薄い防水層を設ける——といった大切な役割があります。
地味な工程ですが、ここを丁寧にやっておくかどうかで、その後の基礎全体の精度がずいぶん変わってきます。家づくりの「最初のひと手間」とも言える部分です。
■ 格子状に組まれた鉄の枠 — 基礎配筋
捨てコンの上に組まれている、格子状の鉄の枠。これが「基礎配筋(きそはいきん)」です。
コンクリートはとても丈夫な素材ですが、実は「押される力(圧縮)には強いけれど、引っ張られる力(引張)には弱い」という弱点を持っています。これを補ってあげるのが、鉄筋の役目です。コンクリートと鉄筋を組み合わせることで初めて、建物の重さや地震の揺れに耐えられる強さが生まれます。
鉄筋の太さや本数、間隔は、その建物の構造計算にもとづいて決まっています。図面通りに正しく組まれているかどうかは、配筋検査というチェック工程で念入りに確認します。
■ 鉄筋の下に並ぶ四角い部材 — スペーサー
鉄筋をよく見ると、捨てコンの表面に直接触れないよう、四角い部材が等間隔に挟まれているのに気づかれるかもしれません。これは「スペーサー」と呼ばれるもので、鉄筋をきちんと宙に浮かせておくためのアイテムです。
なぜ宙に浮かせる必要があるのか。それは、鉄筋がコンクリートにしっかりと包まれていないと、湿気を吸って錆びてしまうからです。鉄筋とコンクリートの表面までに十分な厚み(これを「かぶり厚」と呼びます)を確保しておくことで、鉄筋は何十年も劣化せずに役目を果たし続けられます。
スペーサーは、見た目こそ地味ですが、家の寿命を陰で支えている縁の下の力持ちです。
■ 周囲をぐるりと囲う木枠 — 型枠
写真の周囲をぐるっと囲っている木の枠は、「型枠(かたわく)」です。
このあと、ここに生コンクリートを流し込んで、基礎の形を作っていきます。型枠の精度がそのまま基礎の精度になりますから、職人が水平・垂直を何度もチェックしながら組み上げていく、神経を使う作業です。
コンクリートを打ち込んだあとは、すぐに型枠を外せるわけではありません。しばらくのあいだ「養生(ようじょう)」という、コンクリートにゆっくりと強さを蓄えてもらう期間が必要になります。気温や季節によって、養生の日数も変わってきます。
■ つまり、この写真は……
ここまでの要素を踏まえると、写真が示しているのは「配筋までが完了し、いよいよ生コンクリートを打ち込む直前」という段階だということが分かります。基礎工事の中でも、検査が入る重要なチェックポイントの一つです。
地味で目立たない工程ばかりが続きますが、ここをきちんと積み上げてあるかどうかが、何十年先の住まいの安心を決めると言っても言い過ぎではありません。
普段なら何気なく通り過ぎてしまう工事現場の風景も、こうして一つひとつ意味を知っていくと、家を支える見えない部分の奥深さが少し感じていただけるのではないかと思います。
家を建てるにしてもリフォームするにしても、こうした足元の仕事を丁寧に積み上げていくことが、長く安心して暮らせる住まいの土台になります。Reafでは、お客様にもできるだけ現場を見ていただき、「自分たちの家がどう作られていくか」を肌で感じてもらえるよう心がけています。
気になる工程があれば、ぜひ現場で職人にお声がけください。喜んで、その場でお話しいたします。
