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#26 デザイン5/10

Reafブログ #26 デザイン5/10

【コラム・第5話】古民家再生デザイン帖 ——理想をカタチにする「設計」のはなし

打ち合わせの席で、お客様にいちばん長い時間お話ししていただくのは、実は「これからどんなふうに暮らしたいか」というテーマです。

間取りや仕様、設備のグレードといった具体的な話に入るずっと前に、まずはどんな朝を迎えたいか、どんな夜を過ごしたいか、どんな景色を切り取りたいか——そういった、暮らしの輪郭そのものを一緒に描いていく。それが、Reafの設計の出発点です。

シリーズも第5話となる今回は、これまでの「流れ」「注意点」「施工」という実務的なお話から少し離れて、設計フェーズの考え方と、空間の仕上がりを左右する大切な要素について綴っていきます。

■ 設計は、「暮らしのイメージ」から始まる

「どんなふうに暮らしたいですか?」

この一言から、Reafの古民家再生の設計は動き始めます。古民家ならではの趣をしっかり残しながら、今の暮らしにフィットさせるには、過去と未来の両方に同時に目を向ける必要があるからです。

打ち合わせでは、お客様と一緒に次のようなことを丁寧に確認していきます。

毎日の動線——朝起きてから夜寝るまで、家のどこをどう移動しているか。 光と風の入り方——その家の窓から、季節ごとに何が見えて、どんな風が抜けるか。 家族の成長や、将来の暮らし方——5年後、10年後、20年後、その家でどう過ごしていたいか。

こうしたお話の積み重ねが、間取りや素材選び、色の組み立てへと、ゆっくり落ち込んでいきます。設計図ができる前に、暮らしの輪郭ができる——これが、私たちが大切にしている順序です。

■ デザインの力で、家の「価値」を引き出す

古民家には、新築では決して再現できない価値があります。

太い梁の力強さ、長年の生活で深い色合いになった建具、土壁の手触り——これらは、お金を出しても買えないものです。新しい何かを足すよりも、もともとそこにある良さを引き出す。これが、古民家リフォームのデザインの肝です。

具体的には、こんな手の入れ方をすることがあります。

天井板を外して、立派な梁を表しのまま見せる。空間がぐっと広く、深みのあるものになります。

昔の土間を、現代の趣味空間や玄関ホールとして活かす。冷たい印象だった土間が、間接照明と組み合わさることで、表情豊かな場所に変わります。

状態のいい建具は、再塗装して再利用する。新調するよりも、その家の歴史に馴染んだ、味わい深い仕上がりになります。

「残す」と「変える」のバランスを、お客様と一緒に探っていく。これが、古民家再生のデザインのいちばんおもしろい部分でもあります。

■ 仕上がりの印象を決める、素材と照明

古民家のデザインを語るうえで欠かせないのが、素材選び照明計画です。

素材は、空間に「呼吸」を与える

無垢の木、漆喰、珪藻土、和紙——古民家にしっくり馴染むのは、やはり自然由来の素材たちです。これらは、見た目の温かみや手触りの良さだけでなく、湿気を吸ったり放ったりする「呼吸する性質」を持っています。

そして、年月とともに表情を変えていくのも、自然素材ならではの魅力です。新築のときがいちばん美しい現代住宅と違って、自然素材の家は使い込むほど味わいが深まっていく——これは、古民家の感覚にとても近いものがあります。

照明は、空間の「シーン」をつくる

照明は、住まいの印象を驚くほど変える要素です。同じ間取り、同じ素材でも、照明の組み立て次第で、まったく違う空間に感じられます。

天井の梁を間接照明でほのかに照らす——梁の存在感が、夜になるとさらに際立ちます。 食卓の上に、ぽつんとペンダントライトを下げる——それだけで、食事の時間がぐっと特別なものになります。 廊下や階段に足元灯を入れる——夜の動きやすさと、ささやかな安心感が生まれます。

照明は、暮らしの一場面ごとに必要な明るさを丁寧に設計する、いわば**「シーンの脇役」**。ここをどこまで考えるかで、住み始めてからの満足度は大きく変わります。

■ お客様の声を、空間に翻訳する

設計の打ち合わせでお伺いする言葉は、ときに非常にシンプルです。

「冬の寒さがつらくて、それさえ何とかなれば」 「子どもが巣立ったから、夫婦二人で過ごしやすい空間にしたい」 「両親が建てた家を、自分の代できちんと活かしたい」

こうしたひと言ひと言の奥には、ずっと抱えてきた想いや、これから先の暮らしへの期待が、たくさん詰まっています。

Reafでは、設計士と施工担当がチームでお客様と向き合い、言葉の表面だけでなく、その背景にある想いまで汲みとることを大切にしています。「寒さがつらい」の裏には、寒くても住み続けたいというこの家への愛着があり、「夫婦二人で」の裏には、子育てを終えた静かな喜びがあります。そういう感情の手触りまで踏まえた空間を、一緒に考えていきたい——そう思って仕事をしています。

■ 設計の丁寧さが、暮らしの豊かさを育てる

古民家のリフォームは、長い時間をかけてきた家と、これからの暮らしを結び直す作業です。

だからこそ、設計段階でどれだけ丁寧に向き合えたかが、住み始めてからの満足度を大きく左右します。

ただきれいに直すだけでも、いい家にはなります。でも、Reafが目指しているのはもう一歩奥のところです。「その家らしさ」と「その人らしさ」を丁寧に重ねていく——そんな、あたたかさのある設計を、これからもご提案していきたいと思います。


次回・第6話は、「お引き渡し後の暮らしと、長く付き合うためのメンテナンス」をテーマにお届けする予定です。完成して終わり、ではない古民家との付き合い方について、現場の感覚も交えながらお話しします。